キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
どうせあれなんだろうなあ。
なーちんも言ってたみたいに、ゆるキャラみたいな感覚。
「ねえカンナ。いつも俺に言ってくれてた言葉、なんだっけ?」
髪の隙間からキラリと見えた、シンプルなピアス。
頼くんの黒髪は頼くんにしか出せなくて、頼くんにしか持てないものだって、そんなことは当たり前だけど。
「……おれには、頼くんがいるから…へーき」
「…カンナチャンのほうは?」
わたしには、頼くんがいるから、へーき。
もう1度、繰り返した。
「んっ」
すりっと、頬を寄せてくる。
どこか恥ずかしくなってうつむくと、合わせるように覗き込んでくるという追い討ち。
「っ…!」
ちゅっと、おでこに弾けた音。
頬っぺただけじゃなく、おでこにも追加されてしまった唇。
「や、…や、」
「…可愛くてつい」
「わっ、わぁぁぁ……っ」
「ごめんね。ここ防音だったな、そーいえば」
どっちだ。
今は、どっちとして見てくれてるの。
わたしが女の子だから慰めるようにキスしてくれたのか。
それとも男の子同士だからこそ、こんなふうにできてしまうのか。