キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
アイドルコース、俳優コース、バンドコース。
1年生、2年生、3年生。
校内ですれ違うたびに挨拶を返されて、名前を呼ばれるようになって、顔見知りがたくさんできて。
「これとこれとこれっ、試着よろしく!」
「はいはーいっ」
次から次に渡される、新しい舞台で使うらしい衣装。
中性的なキャラクターらしく、それを演じる生徒がたまたま風邪で寝込んでいると聞いて。
似た体格のわたしが頼まれたわけだった。
「でさっ、舞台で使う挿入歌が欲しいって言ってただろ?あれ、俺のクラスの作曲できる奴が作ってくれるって!!」
「えっ、まじか!!さんきゅーカンナ!!」
こんなふうに繋げることができる。
コースが違ったとしても目指す場所は同じ。
誰かの前に立ち、輝くこと。
それぞれの特性を活かして、もっともっと神藤学院を盛り上げることがわたしの役目だ。
「よっ、カンナ!」
「あっ、お前たちはキラキラアイドルの鬱陶しい奴ら!!」
「ははっ、なんだよそれ」