キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
アイドルコースのクラスが並ぶ棟を歩けば、必ず誰かしらが声をかけてくる。
マイクを持っては歌って踊って、女の子に大人気なグループ多数だという。
ようイケメン。
今日も相変わらず格好いいなと、いつもの調子で返す。
「俺たちさー、可愛い系のキャラが欲しいんだけど。お前こっち来る気ないー?」
「えっ、ダンスなんかできないし俺!」
「ってキャラ、逆に良くね?ってなっててさ今。だってカンナ、噂では楽器できないらしいじゃん」
「失礼なっ!俺ねっ、リコーダーとピアニカ!前なんかみんなの前で発表したからっ」
「ぶっ…!あははははっ!!まじでっ」
誰に言っても大爆笑だから、自分のなかのスベらない話に殿堂入りだ。
わたしを中心に変わっていってる───、
少し前、あのクールハンサムな担任教師が認めたように言ってくれたり。
「そーいうキャラまじ欲しいんだよ俺たち!頼むっ、人助けだと思って入ってよ!そっちコース併用で全然いーから!」
「───だめ。ぜんぜん良くない」
「わ…っ!頼くん…!!」