キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
肩を組んできたアイドルたちから離れさせ、背中から腕を回してきたクラスメイト。
ふわりと、頼くん特有の甘い香りを感じられるようになった最近。
「悪いけどカンナは俺の」
「あっ、じゃあ御堂もセットでいいぜ!お前が加わると確実にファン増えるわ!!」
「キミとか好きとか恋とか、かっゆい歌詞ばっかなアイドル調なんかほんと勘弁だよ」
「ちぇー」
わたしが仲良くなれば、わたしと仲が良い子たちにも広がってゆく。
人と人の輪をこんなにも間近で感じられることができて、わたしは嬉しかった。
「俺が職員室に呼ばれてる隙にさあカンナ。悪い子だね?」
「お、俺っ、べつに何もしてないよ!」
「してる。俺に妬かせるとか超重罪」
「っ…、」
「…まって、今のはイタすぎた。でもまあ…本心だけど」
ドキンッと、ありえないくらい鳴った心の臓。
頼くんに聞こえていないか不安で、どうしようって本気で困ってしまう。
こんな気持ちは初めてだった。
9月、10月、カレンダーが捲られていくたびに膨らんでいく気持ち。