キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
それは、いつかのなーちんが持っていたステッカーに写っていた4人組が揃って取り付けていたもの。
びっくりだよ。
そのひとつがまさか頼くんのギターケースのなかにあったんだもん。
「…Ark.、……聴いてみようかな…」
頼くんはもしかして、Ark.のひとり……?
CDショップに行けば今も何か売られているかもしれない。
そんなことしなくても今の世の中は動画投稿サイトがある。
「……すごい…、どれも再生回数3000万は超えてる…」
動画サイト、いちばん上に出ていた動画をクリック。
いきなりアップテンポなベースラインは、人間ができる指の動きを超越しているものに見えた。
そこからギターも合わさり、激しいロック調に磨きがかかる。
いっきに盛り上がりを作ったドラム、薄暗いMVのなか、狐のお面を被った集団が頭角を見せる。
「頼くんに……似てる、かも」
このギターの人の体格が、なんとなく。
ドラムを叩いている人はムツミに。
ベースの弦を弾(はじ)く繊細で綺麗な指は、わたしが好きだった神様のものに似ている。
ボーカルの人は誰だろう…?
声質的に女性のような気がするけれど、すべてが隠された素性たち。