キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─




クラスメイトたちの会話に心のなかでツッコミを入れつつ、わたしは考察していた。

親は有名な作曲家、小さな頃からわたしが想像もできない威圧のなかで生きてきたのかもしれない。


あなたはあなたよ、と。
シオンさんも伝えていた。


でも取り外した彼はきっと、シオンさんの力によって“自分”というものを取り戻したんだ。



「おい聞いたか!?甘彩学院からこっちに何人か転校生が来るって…!!」


「えっ、まじかよ!?向こうからうちに?ありえなくね?」


「なんか神藤学院のほうが楽しいって噂が回ってるっぽい!」



なんとビッグニュースだ。

だから今朝、じいちゃんから「孫よおおおおお!!!」と、ハイテンションな電話があったのだろうか。



「やったあああっ!!」


「うおっ、うるせーよカンナ!」


「やったああっ!頼くんっ、頼くんやったよ頼くん!!!」



嬉しさのあまり、ぴょんぴょん飛び跳ねて頼くんに抱きつく。

軽々と受け止めてくれる頼くん。



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