キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─




何よりアイドル、俳優、バンド。

それぞれのステージ発表には、なんと大手芸能事務所やプロダクションの人間たちが観にも来るらしい。


そこでスカウトを受ける事例も少なくないのだと。



「カッターと定規、それからマジックな!できるだけ多めに!オレたちの引き出し漁っていーからっ」


「はーいっ!」


「あっ、カンナ!マジックも教室なー!」


「おーう!」



さっそく始まった文化祭準備。

うちのクラスからもいくつかバンド発表をするため、その宣伝板づくりにわたしも参加していた。



「あっ、琥珀くん!俺たちね、文化祭の準備してるんだ~」



ぴしゃんと静まり返った教室、窓際に立っている男の子がいた。

彼がマスクを外した姿にも慣れてきて、一応はこうして見守っているのが琥珀くんだよなあと、それだけで笑みがこぼれる。


とりあえずわたしは頼まれた用具を探すため、クラスメイトたちの引き出しをガサゴソと漁った。



「俺たちのクラスの模擬店はチキンナゲットだし!楽しみだよね~」



えーっとカッターと、定規だっけ。
あとは油性マジック。

うわ、このカッターすごい錆びてるし…。



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