キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
下唇、上唇。
はむっと挟むようについばんで、甘く噛んで、わたしがほぐれてくると、ちょっとだけ激しめに味わう。
息が吸えなくなる手前まで重ねて、んっ、んっ、と反応すると、後頭部を撫でながら空気を吸わせてくれる。
「と、とけ……」
「とけ?」
「とうとう…溶けちゃうぜくちびる…っ」
「…ふ、そのたまに出る変わったキャラは照れ隠しなの?じゃあ…優しくしてやるぜ」
「んうぅ……っ」
すっごく優しい。
これが、彼が女の子に対して扱う優しさ。
ありえないくらい優しくて、とろけちゃいそう。
でも、頼くん。
やっぱり今までのものとそこまで変わらない優しさだよ。
ただそこに、ありえないくらい愛情みたいなものがレベルアップしちゃってる。
「うひゃっ!?あれっ、やさしさっ…!」
「俺が唯一優しくできて、唯一優しくできない子がカンナチャン」
「んあ…!あっ、やぁぁ…っ、服のなかダメっすぅぅ…っ」
「…なあにその声。大好きなんだけど」
初めて、初めて、初めて。
わたしと頼くんの、はじめて。