キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「いーよ別に。マスクの上からするから」
「アワワワ…っ」
そろそろ顔、見たいんだけど。
サングラスくらいは外してもいい?と、手を伸ばそうとしたとき。
「でさっ、あのあと俺すげービビって!」
「はははっ!だよな!」
「っ…!!シツレイっ」
「あっ」
近づいてくる生徒の声を俺より早く感知して、シュタッと忍者並みの動きをしながらも結局はガシャンガシャン。
相変わらずなロボットで俺から逃げてゆくカンナ。
「……そんなに?」
そこまで…?
確かにファーストキスだったとは思うけど、キスでこのレベルだったらこの先どーなんの。
俺って地道にコツコツは得意なようで苦手なんだよね。
「頼、このあとちょっと職員室来い」
まあ、だろうとは思ってた。
いつもカンナの隣にいるのって大体は俺だし、どうにもなかには俺たちがそーいう関係だと噂もあるらしいし。
男子校がゆえに。
担任に呼び出された放課後、「気をつけて帰ってね」とロボットカンナの頭を撫でてから、俺は職員室へと向かった。