キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
『カンナ…!!でかしたぞっ、教育委員会も廃校は撤廃だと話に上げてくれたんだ…!!』
「ええっ、お父さんやったね!」
『ああ!これで来年は安心してこっちに戻って来られるな!』
もうすぐ冬休みがやってくる。
数日後はクリスマス、もちろんわたしは頼くんと過ごす予定を立てていた。
ウキウキ、ワクワク、そのおかげで忘れてしまっていたのだ。
今もお父さんから電話で伝えられた、来年の話を。
『あ、そうだ。年末こっちに帰って来たときな、特上のカニ用意しとくぞ~』
「………」
『カンナ?』
「あ…、うん。…たのしみ」
そうだった。
あと約3ヶ月しかないんだ。
わたしの役目は完了、無事に使命は果たせた。
高校3年生からは前の学校、女の子に戻ってなーちんと過ごす。
「俺、楽しみだよ?女の子のカンナと堂々とデートできるし」
「……ううう1時間半!!わりと離れてるもんっ」
「ぜんぜん行けない距離じゃないし、中距離ってほどでもない。
大丈夫。距離なんかに負けないくらい、めいっぱい愛してあげるから」
「えへ、ふへへ、うはーっ」