キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「シュークリーム、いま思うとほんと男が何やってんだって感じだし!
体育祭のときも、たぶん俺、いろいろ浮かれすぎてて頭おかしかったの!」
琥珀くんとのほろ苦さは、今になって頼くんの甘さが完全に消してくれていた。
これが、初恋。
時間が解決してくれることも確かだったけれど、新しい恋をして、わたしは本当に綺麗に思い出に綴(と)じることができたんだ。
「シオンさんと何かあったの…?あんなに仲良さそうだったのに」
ポンポンと、琥珀くんの背中を叩く。
男同士なんだから、わたしたちは。
転校してきてから初めて隣の席になったクラスメイトで、ただそれだけ。
「シオンさんも熱愛って…、なんか、変な感じするよ」
なんだろう、この感じ。
胸がざわつくの。
ヤケクソ、みたいな。
いろんなことが自分の思うようにいかないときって、自暴自棄になりやすくなる。
今の琥珀くんは、まさにそれ。
もしかするとシオンさんもそうだったり……しない?