キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
嫌、だよね……?
頼くんはわりと嫉妬深くて独占欲が強いから、こんな話、嫌で嫌でたまらないでしょ…?
頼くんにとって私は女の子なんだから。
「…よかったねカンナ」
だめだ、と、確信だった。
こんなやり方しかできなかった自分に対しても呪いたくなる。
「やっとあいつがお前に振り返ってくれたんだ」
「…なん…で、」
「お前がずっと琥珀のこと見て、琥珀のこと考えて、琥珀のこと追いかけて。そうやって恋する女の子だったの……いつも見てたから俺」
ゆっくり自分から離れさせて、受け取ろうとしないわたしの手に持たせられた。
ふわりと香ったのは、シトラスに混ざった甘い香り。
琥珀くんのパーカーから頼くんの匂い。
それだけで頭はぐちゃりと混乱した。
「神様と笑ってて欲しいよ、カンナには」
あ、ごめん電話───と、震えてもいないスマートフォンを操作しながら出口へ向かって行った頼くん。
それからわたしと頼くんは、クラスメイトで、男同士で、友達。