キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
いちばん好きなひと
「えーっと、今日はカンナからお前らにお知らせがあるんだが……俺が代わりに言うか」
はい、お願いします。
無理そうなんですもう。
ってことも言えないくらい。
口から魂が抜けたんだと思う。
わたしがこんな有り様だとしても、左隣の彼はまさかの居眠りだと。
「実はな、カンナは3年から転校することになった」
「……え!?まじで!?うそだろ先生!!」
「いや、本当だ」
うん、そうなの。
あと1ヶ月もないんだよ。
頼くん、本当にこれでいいの…?
神様と笑ってて欲しいって、どういう意味なの…?
パーカー、どうすればいいの。
「転校って、どこに…?おまえ来たばっかじゃねーか!!」
「………アフリカ」
「はあ!?」
それだけ答えて、あとはまた魂が抜けた。
そこまで離れた学校じゃないからこそ本当のことは言えない。
男のまま、完全に神藤学院から居なくならないと。
そのためのアフリカは適当すぎた。