キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
あのときのリベンジをぜんぶ叶えてくれて、あのときのわたしに十分だと思わせてくれて。
そして、本当に大好きなひとを再確認させてくれた。
だからね、だから琥珀くんだって。
「琥珀くんのいちばん好きなひとは?」
「────……志音」
「うんっ!それが蘭 琥珀だねっ」
やっぱり自分の気持ちに嘘なんかつけないよ。
わたしだって同じ。
「…郡さんのいちばん好きなひとは?」
「───頼くん!!!」
それが答えだ。
地面を蹴って、銀髪の神様とすれ違うように走る。
お互いに背中を向けて、わたしも彼も振り返らない。
自分が追いかけたい人のところへ、まっすぐ。
いじわるで、優しくて、格好よくて。
幼なじみ思いで友達思い。
彼の口から琥珀くんの悪口が出たことなんか、1度もなかった。
頼くん、頼くん。
パーカー、無事に返せたよ。
*