キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
そのくせすべての関係に亀裂を作って、壊して。
それでも僕を見捨てない仲間たちがいて。
「君が誰を好きだろうと、君が誰と関係を持とうと。それでも僕は、きみが好きだ」
『…琥珀、』
足りないんだ、今の僕なんかじゃまだ。
君はどんどん手の届かない場所に行ってしまうから、掴もうと思っても届かない。
空を見上げてるだけじゃ、届かない。
でも、唯一、どんな壁も越えることができるもの。
それが───…音楽。
『私は……いろいろ間違えてたの。報道のことはガセよ、週刊誌が勘違いしただけ』
「うん。…だとしても、僕の気持ちはどちらにせよ同じだから」
『琥珀、私ね、あなたが思ってるような人間じゃないわ。綺麗に飾るために必死よ、常に』
「…知ってる」
僕だってそうだ。
僕だって昔から、父親が望む息子になるために必死だった。
決められたことを決められたとおりに、そうでなければ怒られる。
けど、もう、いいやって。
怒られようがどう言われようが、なんとでも言えって。