キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
ってことは、もしその宝石が発掘されてしまって。
ゆくゆくは甘彩学院に取られちゃったら……神藤学院はジ・エンドってこと。
「先生っ、俺がんばるから!」
「おー?頑張れ頑張れ」
わたしが向かうクラスは、バンドコースの2年。
そうこう話しているあいだにたどり着いたらしい教室の前。
ガラガラガラ───、
「おーい野郎どもー、席につけー」
ガヤガヤと騒がしい。
チラリと覗けた室内には、赤に青、金。
音楽という芸術を愛する生徒なだけ、それはもう個性が大爆発だった。
そんなわたしは、悪夢を見ることになるなんて。
このときは微塵も思っていなかった。
「ここ、女は立ち入り禁止なんだよ。まあ自ら食われに来たってんなら……大歓迎」
おいおい、なにがあったよカンナ。
なんと転校初日で。
クラスメイトのひとりにバレることになろうとは───。