キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「わたしっ、頼くんがいちばん好きだよ…!!」
「………、」
「これからもずっとずっと頼くんだけが好き……っ!いーよっ、どんなに逃げられたって…!わたしっ、ずっとずっと頼くんを追いかける…っ」
すこしだけ彼の身体は震えた。
戸惑ってる頼くんに、わたしはそれ以上の腕を回して、たとえ抱きしめ返されなくてもいいんだって開き直る。
「…カンナには大好きな神様、いるでしょ」
「もうパーカーは返したっ、もう、神様は神様として神様になったから…!!」
「………ごめんまったく分かんないや」
頼くん神様はね、掴めちゃったらダメなんだよ。
だってそんなことできちゃったら神様じゃなくなる。
掴めないから、神様なの。
両手を広げて待っててくれるのは、いつだって頼くんなんだ。
「わたしっ、もう頼くんしか見えなくて…!びっくりするくらい頼くんでっ、頼くんが嫌気をさしても頼くんだよ……!!」