キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「………頼、真面目に頼むわ」
「カンナ、実は女の子だったんだよ」
信じる?信じない?
周りにバラす?バラさない?
「……はーーー。まじ……、なあ、もう、……はああああーーーー」
「ごめん。騙すつもりはなくて、カンナにもいろいろ事情があったんだ」
ほらね、こんな顔もできるのがムツミなんだ。
俺が冗談で言っていないことを悟ると、隣に腰を下ろしてきた。
「…ってことは、俺はずっと無意味なことに悩み散らかしてたってわけか」
「ははっ、そーかも」
「……よかった……、まじ良かった……、俺はホモじゃねえ」
「だとしても俺のだからよろしく」
無事に受け入れてくれたことで、俺はメッセージに《大好きだよ》と唐突に送る。
正直、寂しい。
隣に居ることが当たり前になってたから、急に居なくなると落ち着かない。
だから必ず電話もするしメールもするし、週末は会いに行くし。