キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
どんな顔してんだろ、俺。
なんかすごい世界が明るいっていうか、キラキラしてるっていうか。
午後の授業は過去イチやる気が出そうっていうか。
今すぐカンナに会いに行って抱きしめてキスしたいっていうか。
「頼、また僕と一緒にキャッチボールしよう」
日本だけじゃないんだろう。
こいつが言ってるところは。
プロ野球に留まらず、言ってしまえばメジャーだ。
「じゃあ俺からもひとつ、提案いい?」
「提案…?もちろん」
「前までのArk.にはリーダーがいなかった。今回はそれ、決めよう」
なにかあった際、まとめる人間。
あえて作らなかったのが過去の俺たち。
喧嘩にならないようにだとか、逆に意見を言い合えるバンドにするためだとか。
でも、そーいう存在がいなかったから簡単に解散してしまった部分もあったんじゃないか。
もう同じことを繰り返さないためにも。
「なら、頼じゃね。琥珀はリーダーシップはないだろうし、俺もたぶん無理だわ」
「…僕は…、」
「じゃあムツミ、お前で決定ね」
言いかけた琥珀の言葉に重ねて、俺は言い切った。