キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「うわっ、わあ…!すごいひとっ」
わたしの学校って女子校だったっけ…?と思ってしまうほど、校門前にわんさかわんさかと。
「芸能活動とかされてるんですか…!?」
「神藤学院の生徒さんですよね…!?ぜひファンになります~~~!!」
「あああのっ、握手っ、せめて握手とかって……!」
さすがに溢れすぎだ。
ハリウッドスターか。
ここはレッドカーペットか。
「よりく…っ、わっ…!押された…!!やだもう!いたいっ」
だめ、こんなのもう行けたもんじゃない。
なんだこの物理的な壁は…!!
ううう~!わたしだって見たいのに国宝級イケメン……!!
「───カンナチャン」
と、道が開ける。
女の子たちに揉みこまれて呼吸を整えていたわたしの前。
久しぶりの制服姿と甘い香り。
それだけで周りの目なんか気にせず、めいっぱい抱きついた。
「頼くん…っ!!」
今までは男の子だったから、外ではこんなことできなかった。
手を繋ぐことだって、わざわざ人がいない場所を探さなくちゃダメだった。