キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「カンナ」
「なあに頼く───、っ、んっ」
人通りから逸れた小道。
木の陰に隠れるように、ゆっくりと重ねられた唇。
「…ヘアピン、かわいーね?」
「っ…、えへへっ、それ懐かしい」
髪はとくに伸ばすことはしていなかった。
長さはあのときのまま、ヘアピンを追加させたくらいで、女子セーラー服姿に変わっただけ。
そんなわたしを頼くんは何よりも温かく愛しげに見つめてくれる。
「ちなみにだけど、そのスカートの短さは俺への挑発ってことで受けとるよ」
「えっ?」
「あ、そうそう。俺にはなんでもするんだよねカンナチャン?」
「そ、それっ、今になって掘り返すのだめだよ頼くん…っ!」
「だいじょーぶ優しくするから。いじめるのはちょっとだけね、ちょーっとだけ。───…前はキモチ良すぎて激しーの、せがんできたくせに」
「っ、もう…っ!」