キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
その一言でなぜかクラスメイトたちも口を閉じてしまったのは、言葉を発した彼のイケメン度合いが群を抜いて出ているからか。
王子様たちのなかにもある、段階とやら。
なんだろう…、
すっげーやイケメンって。
それはうしろから数えたほうが早い席にて、ヘッドフォンを装着してはタブレットを開いている生徒だった。
「てか頼、あいつはまた寝坊?」
「…いや、今日は予定があるらしいね」
「予定?あいつが優先させる予定なんか……」
「ま、そーいうこと」
ひとつだけ空いている席を見つめながら、ムツミとヨリという男は謎の会話を交わしていた。
その席が揃えば全員集合の朝らしいのだけど、先生いわく「それは奇跡だろうな」と。
「ってことで、カンナも加わった新しいクラス。みんな仲良く───」
ガラガラガラ───、
先生の締めの言葉を止めてしまった教室のドア、なんと開く。
「……まじ?え、琥珀(こはく)?こんな早いの初めてじゃね?てか、予定あったんじゃねーの?」
「…ちょっと遅れた」
「いやいやいや!お前いつも2限が始まってからの登校だろ!」