キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
あっ、そういえばそうだったかも!
わたしの祖父は隣町にある高校の理事長さんらしくて?
詳しいところは知らないのだけれど、一応は会社を経営しているようなもので?
そこまでお嬢様というわけではないけれど、甘えに甘えて可愛がられて生きてきた一人娘がわたし。
しかしどうにも、そんな我が家は一斉一代の危機に直面しているらしく……。
「実はその高校が今、廃校の危機なんだ」
「はいこう…?」
「ああ。このままの状態では残しておくことは難しいと、教育委員会から敵にされていてね」
「えっ、どーして!」
はははと、苦笑いのお父さん。
説明しづらい理由があるのか、なかなか話そうとはしなかった。
「理由はまあ……いろいろあるんだ。なんというか大人の事情というやつがね」
「でもまだ生徒たちは居るんでしょ?」
「そう。ああ…、そこの対応も降りかかってくるのか…」