キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
油断していたときに登場、御堂 頼。
おそるおそる振り返ると、朝から眩しいほどの美形が立っていた。
悔しい、見ていて悔しくなる。
透明感あるふれるイケメンが琥珀くんだとしたら、彼はなんというか、爽やかでありつつも色っぽくて艶やかなのだ。
そして琥珀くんとは違った声質がまた、逆に本能をつついてくる。
「お、おはよ…」
「なにしてんの。入らないの?」
「いやっ、入ろうとっ、してた!」
「なら入りなよ」
「わっ…!」
ぽんっと押された背中。
わたしの身体はあっけないほど傾いた。
それをまたスムーズに支えるようにしてくれたのは、頼くん。
「っ、わあああああーーー!!」
「ちょ」
昨日の放課後を思い出し、叫んだ。
この男に服のなかを触られて、下着の種類を当てられちゃったんだ。
「おい不協和音!やめろ転校生!うるせーよテンポが狂うだろっ」
「うわああああーーーー!!!」
メトロノームを操作して何やらリズム確認をしていたクラスメイトがキレる。
が、わたしのサイレンは鳴り止まず。