キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「…昨日は、ごめん」
「へっ?」
「放課後、なんか言われてたのに帰っちゃったから僕」
「あー!いいのいいの!」
というかっ、パーカー!!
あいつが持ってるんだった…!と怨念を込めて視線を移せば、気づいた奴はとぼけたふりをして舌をベッと出してくる。
まあ……いいか。
結果オーライ、なのかな?
だって昨日もし琥珀くんもあの場所にいたら、たぶん、ぜったい、いろんなものが大変なことになっていた。
「あのっ、それで琥珀くんっ、これなんだけど…!」
「………」
とあるラッピングされた小袋を彼の前に差し出した。
それまで賑やかだった教室内は、どういうわけかわたしの行動に釘付け。
「昨日の数学のお礼に…!と、思って!」
「………」
「あっ、とくに手作りとかではないんだけど…!家の近くにちょうど美味しそうなシュークリームが売っててっ、琥珀くん好きかなって…!」
「………」