キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
返事がまったく返されない。
琥珀くんはわたしが差し出した小袋をじーっと見つめてだんまりを決め込んだまま。
そして注目してきていた周りは、わたしに疑問の目を向けてくる。
「おい、カンナ。お前そのためだけにアララギに買ってやったのかよ?」
「え?うん」
「そのラッピングは?」
「…シュークリームだけだとあれかなって、自分でそのあと…」
男たちに呼ばれるようになった名前。
なーちんが見たらびっくりする光景だろうなあ…と、ぜんぜん関係ないことを思っているわたしに。
ドッと、野郎どもが騒ぎ出した。
「はあ!?まじかよ!!おまえアララギに恋した女かよ!!」
「えっ、…え」
「なに、シュークリーム?ラッピング?なにより戸惑うわアララギが!!
どう受け取ればいいんだよ男からのプレゼントなんか!!」
「あっ、…ダメ、なの…?」
「ダメだろ!!それは女からされるのが嬉しいやつだろ!!」