キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
変態…!下品…っ!
すっごいセクハラじゃんっ!!
わたしはまだ、男子高校生の普通や当たり前を知っていなかったのかもしれない。
前の学校は共学だったとしても、ちゃんと男子と女子のあいだには壁があった。
でも今、ここは。
オオカミたちがうにょうにょと自由に生息する、広い檻の中なのではないか。
「はいはい、そこまで」
「っ…!」
パサッと、わたしの頭にかけられたカーディガン。
まずは視界を見えなくさせることから彼は始めてくれた。
「あんまいじめてやんないでよ。女の裸に慣れてない男ってのはさ、男の裸ですら刺激が強いんだって」
次に、支えられた肩。
そこで話してくれることによってわたしに安心を与えてくれる。
「わあっ…!」
最後、ふわっと持ち上げられた身体。
抱き上げられる、ではなく。
表すなら持ち上げられる、抱えあげられる、だろう。
「だれっ、前が見えない……!」
「俺だから大人しくして。あ、そうだ琥珀。ムツミでもいいけど、俺たち少し遅れるって先生に言っといてよ」
「ちょっ、おい頼…!」