キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
高層ビルのエレベーターだったら、いっきに1階から30階…みたいな。
「行けると思うのよ~!この子なら!ねえあなた!」
「うんうん。いろんな意味で心配ではあるが……そこはもちろんお父さんが守ってやるからな、カンナ」
あの、だから。
説明書を開けるところから始めないと。
どこにあるの、その説明書。
すでに燃やされてるパターンだよ、今のコレって。
「1年だけでいいの…!そのあいだに何とかカンナの力で立て直してほしくて…!!」
「1年…?じゃあその1年で、また今の高校に戻れるってこと?」
「もっちろんよ!!…結果がどう転んだとしても1年。それだけは親として約束するわ」
だから1年間。
つまりは高校2年生のあいだだけ。
「男の子になって!カンナちゃん!いやっ、カンナくん!!」
家族の危機を救うため。
なんとわたし、
性別が変わるんだってよ───。