キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「なななっ、なにっ」
「そーいえば。なんでもするって言ってたっけなあ、昨日」
「わわわわすれたっ」
「都合よすぎ」
「わ…っ」
コツンとおでこがぶつかった。
ただ不思議なのは、怖い気持ちは無くて。
わたしはここでも自分の体質を実感する。
深く狭くな友達には、必ず恵まれること。
「こんなオオカミだらけの学校、がんばれそ?」
「……がん、ばる」
「面白いくらい腰、抜けてましたけど?」
「うっ」
痛いところを突いてくる…。
彼はもしかすると、“男版なーちん”かもしれない。
言わなくちゃ、メールしなくちゃ。
新しい学校で友達ができたよって。
「今日みたいなことはたぶん、これから毎日だろうね」
「…俺っ、耐性つけるよ!」
「耐性?どーやって?」
「裸の男ってスマホ検索し───」
「やめろ」
そこは優しさなく、却下された。
いい案だと思ったのに…。
すると頼くんは少しだけ顔を離して、わたしの跳ねていたらしい髪の毛を直すように頭を撫でてきた。