キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「…さっき、一人暮らしって言ってたけど」
「あ、うん」
「なにかあったら俺に連絡しな」
「え、」
それはメッセージアプリのお誘いだった。
ポケットから取り出した頼くんにつられて、わたしも同じ動き。
「見守っててあげるよ。お前がどこまで男を貫けるか」
ピロンと、交換したばかりのメッセージ欄に追加されたスタンプ。
初めて送られたメッセージは、頼くんにしては可愛いヒヨコのスタンプ。
「じゃあ……黙っててくれるってこと…?」
「おまえ悪い奴じゃなさそーだし、交換条件として俺と友達になって」
「───うん!!!」
どうしよう、思ってたより嬉しいかも。
女だとバレてしまった昨日は不安でしか無かったけれど、今は嬉しくて仕方がない。
新しい友達がひとり追加されるだけで、こんなに気分は明るくなれるんだ。
「えへへっ、ありがとう頼くん!この学校で初めての友達!」
前の学校でもクラスメイトの男子と交換したことはあった。
でもそれは義務的なもの含めて交換していただけで、最初から友達として登録することは初めて。