キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
「今日の朝も、…本当はすごく嬉しかった。頼くんが居なかったら俺、もしかしたら泣いてたかも!」
情けないよね、本当に。
シュークリームを断られて、クラスメイトたちに笑われて。
でも頼くんだけはわたしの肩を叩いてくれたから、何よりも救われた。
「……やば。なんかハマりそう」
「へっ?」
「ほら、着替えてグラウンド行こう」
それからジャージに着替えて、グラウンドへ向かったわたしたち。
駆け寄ってくるムツミ、琥珀くんは日陰のベンチに座っていた。
「あれがアイドルコース?」
「そ。見てるだけで鬱陶しいだろ」
「…キラキラしすぎ!」
合同授業の内容は、アイドルコースと野球の試合だと。
やる気ゼロのバンドコースのイケメンたちと、爽やかな風を受け止めるアイドルコースのイケメンたち。
まるで陰と陽。
どうにも太陽の下が苦手な男ばかりみたいなのだ、わたしのクラスは。
「みんなっ、ほら立って!練習しよーよ!!」
「むり。まじで無理。帰りてえ」
「そんなこと言わずに!」
「野球なんかやってられっかよ。腕とか骨折したらギター弾けねーし」