キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
でも来月の体育祭までだからこそ、できれば優先してほしいんだけど…!
「………だれも来ない」
そして放課後のグラウンド、わたしの姿のみ。
バットにグローブ、ボール、ヘルメット。
用具は揃っているというのに人間が揃わないとは。
《頼くん!友達を助けようとは思わないのか!!》
《ソロホームラン、打席で必ずヒット、お前のノーコンボールにも対応。どーよ俺の今日の成績。練習が必要とは思わないね》
すぐ返信がきた。
どこかで見ているのかもしれない。
わたしのことを見守ってるって言ってたから、今も校舎内のどこかで。
「よしっ、まずはバッティング練習!いーちっ、にーっ、さーんっ」
まずはじめの第一歩、まずはじめの第一歩!
小さなことからコツコツと、だ。
塵も積もれば山となるって言うし!
そんなわたしを見守っていた人物が、実はふたり居たこと。
もちろんのことわたしは知るわけもなく───。