キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
パワーワード:焼き肉
「みんなお待たせ!よーし今日も張り切って練習………安定の誰もいないっっ」
また今日も、ひとりも来ず。
ジャージ姿で気合い十分な自分が可哀想になってくるほど、男たちは優しくない。
個人的にムツミを誘ってはみたが、「だから俺は女が好きなんだよ!!」なんて、相変わらずよく分からない返事で断ってきたし…。
「やるぞカンナ!!今日はピッチング練習だっ!」
だとしてもめげないわたしは、たったひとりで特訓を開始する放課後。
これでもピッチャーを任されたんだからっ!(※勝手に名乗り出ただけ)
わたしが相手クラスも打てないようなボールを投げられるようになれば、クラスメイトたちだって見直してくれるはず!
「うわっ…!」
グラウンド端にあるコンクリートの壁。
そこに打ち付けては跳ね返って、キャッチできず飛んでいって。
「ごふっ、痛いっ…!!」
やだこれ…。
たまに自分のお腹に直撃してくる…っ。
凄まじいコントロール力だ、わたし。
これをキャッチしてくれた頼くんを称えたい。