キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─
わたしが投げたボールを受け取ってくれて、少し加減されたスピードで返ってくる。
わたしが取りやすいものを投げてくれてるんだろうな…って、伝わってくる。
「琥珀くんも前のタイムリーヒット、凄かったよ…!」
「あれは…たまたま当たっただけ」
「えーっ、たまたまで当てれるほうが凄くない!?」
ぱしっ、ぱしっ。
わたし、いま、逆にクラスメイトたちが居なくて良かったって思ってる。
だって銀髪の神様とキャッチボールだよ?
マスクの下では少しでも笑ってくれてるのかな…なんて。
「コントロールいいね琥珀くん!」
「…キャッチボールは好きなんだ」
「そうなんだっ」
楽しそう、かも。
どこか懐かしんでる…?みたいな。
もしかして小さい頃とかに誰かとやったりした?
かなり動かしちゃってるわたしとは反対に琥珀くんは、わたしのグローブのなかに安定して入れてくれる。
「今日はありがとう!すっごい楽しかった!」
「…どうも」
「ふふっ、どーも!」