輪廻〜親愛ヴァンパイア〜



**



ペンを置いて、手を伸ばして大きく伸びをした。



テスト期間中ともあって、勉強にかかりっきりで他のことが手につかない。


そんな状態が続いてか、集中力が切れた時の疲労が尋常ではなく。



時計はまだ、9時にも回っていない。


倒れ込みたい衝動をなんとか抑え、飲み物を買いに行く名目で、気晴らしに散歩でもしようと立ち上がって寮の部屋を出た。



夜風が頬を撫でて、昼間より少し心地いい。


このまま時が止まればいいと、自分らしくないことを思った。



もう数週間もすれば夏期休暇に入る。


そうすれば大半が家へと帰って行くのだけど……



私は、どうするのだろう。



ふと思った。


また誰も出迎えてはくれない、一人の家に帰るのだろうか。


< 12 / 66 >

この作品をシェア

pagetop