輪廻〜親愛ヴァンパイア〜
いつから弱くなった?
いや、それももうずっと前からだろう。
私は元からこうだったのだ。
すっかり忘れていた気がする。
この世から自分の存在ごと、なかったことにできれば簡単なのに。
*
途中、気配を感じて立ち止まる。
「―――っ、……――」
「っ――…っ」
どこからか、微かにだけれど話し声が耳に届いた。
どうやら薄開きになった空き部屋から聞こえているらしい。
あそこは確か、物置部屋――。
中を除くも、暗くて何も見えない。
その時、雲から顔を出した月明かりが部屋を照らし出す。
あっ…と息を呑んだ。
2つの影が見えたかと思えば、その表情がはっきりと見える。
一人は、焦りを含んだ表情の逢知利央(オオチ リオウ)。
右耳に3つ、左耳に4つ並んできらりと光るピアス。
校則を守らないチャラチャラした外見。
名門のこの学園では他にいないほど奇抜で、印象深い。