輪廻〜親愛ヴァンパイア〜



いつから弱くなった?


いや、それももうずっと前からだろう。



私は元からこうだったのだ。


すっかり忘れていた気がする。



この世から自分の存在ごと、なかったことにできれば簡単なのに。







途中、気配を感じて立ち止まる。


「―――っ、……――」


「っ――…っ」



どこからか、微かにだけれど話し声が耳に届いた。


どうやら薄開きになった空き部屋から聞こえているらしい。


あそこは確か、物置部屋――。



中を除くも、暗くて何も見えない。


その時、雲から顔を出した月明かりが部屋を照らし出す。



あっ…と息を呑んだ。


2つの影が見えたかと思えば、その表情がはっきりと見える。



一人は、焦りを含んだ表情の逢知利央(オオチ リオウ)。


右耳に3つ、左耳に4つ並んできらりと光るピアス。


校則を守らないチャラチャラした外見。


名門のこの学園では他にいないほど奇抜で、印象深い。


< 14 / 66 >

この作品をシェア

pagetop