輪廻〜親愛ヴァンパイア〜



頭を掻きながら、限りなく面倒くさそうに言うのは勝手だけれど。


巻き込まれた私の方が不憫だとは思わないのだろうか。



どうして了承してしまったのか分からないけれど、この笑顔に毒気を抜かれているのかもしれない。


他人を自分のペースに引き込む、どこか憎めない性格。


しばらく付き合って、自然と理解してしまったこの人の長所に違いない。



結局、鍵の空いている教室を一つ一つ調べることになった。


けど、そのいずれかも既に人が溜まっていたり、あまりに掃除が行き届いていなかったりと様々。



地味に困難極めたけれど、ようやく誰もいない空き教室が見つかった。


長いこと使われていないから多少の埃は気になるけれど、換気をすれば使えないことはない。


校舎の端に面しているから目立たず、静かに勉強ができる。



鼻歌を口ずさみながら一人で楽しそうな利央の横で、教材を両腕に抱えながらふと、疑問をぶつけてみた。


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