輪廻〜親愛ヴァンパイア〜



視線が、交わった。



「貴方も、気付いているでしょう?」


私であって私ではない人。


前に一度、校内で王子に強く引き止められたことがあった。


あの時は人違いだと言われたけど……


確実にルイという人と間違えていた。



「……ああ、そうかもな。
ルイ・マッキンベルは、瑠架の……」


言いかけて、言葉が途切れた。



フワ…――


突如香った独特な、薔薇の匂い。


と同時に、横をすり抜けていった男子生徒を、見送る利央。



「あいつ、は……」



どうしたの、と。


そう問おうにも、あまりに真剣な眼差しに気後れしてしまって、結局聞くことはなかった。



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