輪廻〜親愛ヴァンパイア〜
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先ほどの利央の反応はなんだったのか。
そんなことを考えながら道を歩く途中、廊下のど真ん中で固まる人だかりに遭遇した。
それも全員女子という異様な光景。
目を向けた先にいたのは、女子の中心でにこやかに対応する男子生徒の姿。
「うわぁっ…あれ隣のクラスに転校してきた噂のイケメンでしょ?」
「レベル高いわぁー…」
羨望の眼差しを送る、側の女子たちの会話が耳に入った。
なるほど、どうりでこの人だかり。
あの目立つ容姿で見たこともない人。
転校早々、噂の的…か。
確かに周りが放っておくはずもない外面。
人だかりのせいで横を通り抜けられないで足を止めた。
小さくため息を漏らし、人当たりの良さそうなその人に再度視線を向けると、タイミング悪く目が合った。
花が咲くような笑顔を向けられた瞬間。
背筋が冷たくなる、ゾッとするような感覚に陥った。
言葉にできない、刺すような視線。
頰が引きつる。
表情が強張った気がした。