輪廻〜親愛ヴァンパイア〜
固まる私を他所に視線は外された。
気のせい……?
いや、そうでありたい。
まさか突然、不自然なほどの寒気に襲われるとは思いもせず。
腕をさすりながら人の間をすり抜け、見なかったふりをすることにした。
その後、何とか人並みから外れることができたけど。
あと少しだと体に鞭打っても言うことを聞かない。
たった今階段を降りてきたというのに、踊り場でへばってしまった。
どうしたんだろう。
これ以上歩けない。
体の自由が効かない。
壁に背をついて途方に暮れていると、目の前に影ができた。
見上げれば、そこにいたのは転校生。
どうしてここに……?
何か用でもあったのだろうか。
荒い呼吸を抑えながら、無言でじっと相手を上目に見つめる。
「あーあ。ほんとツイてないし。
ちょっと目を離したら逃げられるんだもんなぁ」
「逃げ、る……?」