輪廻〜親愛ヴァンパイア〜
意味が分からない。
上から見下ろしてくる視線に戸惑い、息を吐きながら聞き返す。
ただ、気分が優れないため、あの場を退いただけのこと。
この人にとやかく言われる筋合いはない。
「うーん?自覚なしかー。
見たところまだ完全に……とはいかないみたいだね」
一人でぶつぶつと、何の話をしているのだろう。
体の不調がさらに悪化して、ズルズルとへたり込んだ。
「僕は伯凰深門(ハクホウ ミカド)。よろしくね、間宮椿ちゃん」
「どうして、私の名前を…」
私の問いかけなど聞こえないかのように、目の前の転校生は顔を近づけてきて、耳元で囁いた。
「人の生き血を啜る化け物ってさ……僕ら吸血鬼のことを言うんだよ」
一瞬、何を言われたか理解できなかった。
呆然と、目と鼻の先にある顔を凝視し状況を把握。
ああ、この人もヴァンパイアなのか。