輪廻〜親愛ヴァンパイア〜



「ああ、もったいない」


そう言い、上目に私を見上げるこの人は確信犯だ。


人の羞恥を煽り、面白がっている悪魔。



なのに、どうして……?


気持ち悪いはず、なのに。


さっきから体が熱くて、疼いて仕方ない。



悪戯な笑みを貼り付ける彼を睨みつける。


ふっと笑った転校生は、お手上げだと言わんばかりに私から離れた。



「他人の所有物に手を出すほど僕は愚かではないよ。
僕も瑠架くんを本気で敵に回したくはないんでね」



所有…物……?


私があの人の……


やっぱり私と瑠架は、前世の恋人同士だったのだろう。


甘美な誘惑と苦痛に呑まれて、意識を失いかけた時。



「何をしている」


凍えるような寒冷さを孕む、地を這うような低い声色。



聞き取った瞬間、私の理性を意のままにしていたのだろう呪縛から解放された。


「だいじょぶか、間宮ちゃん」


< 40 / 66 >

この作品をシェア

pagetop