輪廻〜親愛ヴァンパイア〜
「ああ、もったいない」
そう言い、上目に私を見上げるこの人は確信犯だ。
人の羞恥を煽り、面白がっている悪魔。
なのに、どうして……?
気持ち悪いはず、なのに。
さっきから体が熱くて、疼いて仕方ない。
悪戯な笑みを貼り付ける彼を睨みつける。
ふっと笑った転校生は、お手上げだと言わんばかりに私から離れた。
「他人の所有物に手を出すほど僕は愚かではないよ。
僕も瑠架くんを本気で敵に回したくはないんでね」
所有…物……?
私があの人の……
やっぱり私と瑠架は、前世の恋人同士だったのだろう。
甘美な誘惑と苦痛に呑まれて、意識を失いかけた時。
「何をしている」
凍えるような寒冷さを孕む、地を這うような低い声色。
聞き取った瞬間、私の理性を意のままにしていたのだろう呪縛から解放された。
「だいじょぶか、間宮ちゃん」