輪廻〜親愛ヴァンパイア〜
錯乱状態の私を引っ張り上げて支えたのは、今日もまた行動を共にしていたであろう利央。
どうして……
いや、それよりも何故?
ちらりと王子を一瞥し、視線を下ろした。
この人が、何故ここにいるのだろう。
「何しているかって……?
やだなぁ、ちょっと品定めを…ね」
掴まれた腕をやんわりと解き、私を見下ろして意味深に言ってのける。
深まる笑みのその理由は聞けず、無言で目を逸らした。
この人と目を合わせていると危険だ。
ああ、まただ。
この人からも、懐かしい感じがする。
私は彼を知っている…?
とうとう意識を失う直前、私は無意識に呟いていた。
「アル、ニス…?」
驚いた表情の転校生を見たのを最後に、意識がぷつりと途切れた。