輪廻〜親愛ヴァンパイア〜



憤怒にも似た、淡紅に鋭く光った瞳。


素直な嫉妬をだだ漏れにし。


その言葉は、まるで瑠架を射抜くように。


諌めるかの如く辛辣に響いた。



こいつもこいつで、怒ってんだろうな。


いくら恋敵と言えど、スキあり状態でみすみす手に入っても面白くないのか。


俺の周りは不器用しか揃わないのかね、まったく。



「おい、瑠架……」


言いかけて、口を閉ざす。


一体、俺は何を言おうとしたんだ?


俺が言えることなんて何もないはずなのに。



けど……



こいつにはちゃんと、届いたか?


そう、思いてーな…。


奥歯を噛み締めて作り拳の親友を見やって、息を一つ吐いた。




< 45 / 66 >

この作品をシェア

pagetop