輪廻〜親愛ヴァンパイア〜



望んだ結果はいつも、思わぬ方向へと向かい、僕と彼女との仲を阻む。


一歩近付くたびに、また数歩離れる。


その距離は徐々に開いていき、最終的にはこの世で一番嫌いな男の手中に収まる。



足場の悪い階段をいとも容易く上り詰め、自分を見下ろすのは苦労を知らぬ無知な奴。


寵幸を欲しいままにしているにも関わらず、それに気付かない愚かな仇敵。


幸せを掴むのはいつだって、憎くて憎くて仕方ない、すまし顔のヴァンパイア。



そんな男が炎の中で絶望している時は、歓喜に打ち震えたものだ。


それほどまでに、自分が奴を嫌う理由は因縁の中にあった。



自ら望むものが皆無に近かった彼が初めて欲した一人の少女。


それを後から現れたふらつきのヴァンパイアなどに奪われた。


実にみじめで滑稽な己の姿。



生きてきて、これほどまでに屈辱的なことが他にあっただろうか。


後に残るは虚しさのみ。


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