輪廻〜親愛ヴァンパイア〜



“王子”の登校をまだかまだかと待ちわびる幾多の女生徒たち。



2年もこの学園に通っていれば、そんな光景すら日常化していることで、その他の生徒は迷惑そうに視線を向けるだけで何も言わない。


集団で突っかかってくるから、何か意見しようものならひとたまりもない。


目を付けられて噛みつかれるのは誰だってごめんなのだから。



校舎内に足を踏み入れると同時に聞こえた、甲高いざわめき。



ああ、またか…。


小さくため息を漏らして視線を向けるも、人だかりのせいで姿すら確認できない『王子』と呼ばれるその人――宝生瑠架。




同じ人間に間違いない。


……の、だけど。



目に写したその存在感は、まさに異質。


透き通るような白い肌、襟足までのサラリとした黒髪。


底の見えない、同色の瞳は物憂げな表情を称えている。


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