輪廻〜親愛ヴァンパイア〜
その表情は堅苦しく、無愛想。
人間離れした端麗な容姿、誰もが知る人柄が存在感をさらに駆り立てる。
人を寄せ付けない完璧な佇まい。
それはまさに『孤高の王子』だと有名だった。
きっとこの学園で彼を知らない人はいない。
その場にいるだけでも教師、生徒を問わず目を引く美しさなのだから。
けれど彼は、人との馴れ合いを好まないらしい。
他人の気遣いも容赦無く跳ね返す冷酷な人だと噂だった。
そんな彼を私は不憫に思う。
一生徒には違いないのに、周りと違うというだけで特別視されてしまうのは放っとかれるよりも辛いんじゃないか。
私はそんな人生が嫌で逃げ出してしまった。
あんな上辺しか見てもらえない地位なら戻りたいと思わない。