輪廻〜親愛ヴァンパイア〜
物心ついた頃、既に親はいないも同然だった。
人からいつも素通りされて来た。
無条件に貰えるはずの愛さえ感じたことはなくて。
人が当たり前に受けるそれを、私は知らなかった。
……一人が、当然なのだと思っていた。
ずっと、誰しも平等だと。
けれど幼心の淡い考えは砕かれ、一人なのは自分だけだと悟った。
度々開かれる和気藹々とした会合や催し事。
周りにいる同年代の子達には決まって、側に親族か、隣に従者が控えていた。
顔見せや世間体から、両親と参加することは多かったけど、常に一人の世界は当たり前。
そこそこ有名な両親のお陰で、家柄に対し顔色を伺うように諂う人は大勢いた。
気付けば味方は、誰もいない。
私の周りだけ冷え切っていたのは決して気のせいではなかった。
子を見る親の目は荒んでいて、まるで汚い物を見ているよう。