Actress〜偽りから始まるプラハの恋〜
途中から、これが環菜にとっては婚約者のフリの一環であることすら忘れていた。
それを思い出したのは、行為が終わって、環菜がそのまま寝入ってしまい、スヤスヤと静かな寝息を立て始めた時である。
環菜はなぜか拒否しなかったけど、本来の環菜は僕には全く興味も好意もないんだったと、家で接する環菜の姿が脳裏に蘇った。
(このまま、演じていない時の環菜も僕を好きになってくれないかな。自分から頼んでおいてそんな願いは都合よすぎるよなぁ‥‥)
せめて今だけはと思い、眠る環菜を腕の中に閉じ込める。
そのまま環菜の体温を感じながら、僕も眠りについたのだった。
「ねぇ、さっきご夫人から、今まではいつも智くんのパートナーを頼まれてたって聞いたんだけど本当?過去の恋人には頼まなかったの?」
僕に身を預けて寄りかかっていた環菜に、ふいにそう声をかけられて、あの日の出来事を思い出していた僕の意識が引き戻される。
ちょうどあの夜を思い出していたこともあり、パーティーの最中だというのに、手に触れている環菜の身体の柔らかさに生々しさを感じ、また昂りを覚える。
理性で落ち着け、ニッコリといつも通りの笑顔を作った。
「ご夫人がそんな話までしたんだ。全部本当だよ」
「なんで?女避けが必要なほど女性にモテるんだから、選びたい放題、頼みたい放題なんじゃないの?」
「なに?またヤキモチ?」
過去のことを聞かれても、今思うと碌な付き合いをしてなかったと思っているため、話すのが
憚られた。
だから僕ははぐらかすように環菜をからかった。
あの旅行の時の環菜の嫉妬は、忘れられないぐらい可愛かったのだ。
女性に嫉妬されるのは面倒だとしか思ったことがなかったのに、可愛いと思う嫉妬があるとは新たな発見でもあった。
つまりは、本当に好きな相手にだったら、嫉妬されるのも嬉しいということなのだろう。
「もう!またからかってるでしょ?もういい!聞いた私が間違ってた」
「ごめん、ごめん。まぁ簡単に言うと、環菜ほど愛してる人がいなかっただけだよ」
「‥‥!」
一瞬驚いたように目を丸くする環菜を見て、なんだかもっと触れたくなり、僕は赤く染まる頬にチュッと軽く唇を寄せたのだった。
それを思い出したのは、行為が終わって、環菜がそのまま寝入ってしまい、スヤスヤと静かな寝息を立て始めた時である。
環菜はなぜか拒否しなかったけど、本来の環菜は僕には全く興味も好意もないんだったと、家で接する環菜の姿が脳裏に蘇った。
(このまま、演じていない時の環菜も僕を好きになってくれないかな。自分から頼んでおいてそんな願いは都合よすぎるよなぁ‥‥)
せめて今だけはと思い、眠る環菜を腕の中に閉じ込める。
そのまま環菜の体温を感じながら、僕も眠りについたのだった。
「ねぇ、さっきご夫人から、今まではいつも智くんのパートナーを頼まれてたって聞いたんだけど本当?過去の恋人には頼まなかったの?」
僕に身を預けて寄りかかっていた環菜に、ふいにそう声をかけられて、あの日の出来事を思い出していた僕の意識が引き戻される。
ちょうどあの夜を思い出していたこともあり、パーティーの最中だというのに、手に触れている環菜の身体の柔らかさに生々しさを感じ、また昂りを覚える。
理性で落ち着け、ニッコリといつも通りの笑顔を作った。
「ご夫人がそんな話までしたんだ。全部本当だよ」
「なんで?女避けが必要なほど女性にモテるんだから、選びたい放題、頼みたい放題なんじゃないの?」
「なに?またヤキモチ?」
過去のことを聞かれても、今思うと碌な付き合いをしてなかったと思っているため、話すのが
憚られた。
だから僕ははぐらかすように環菜をからかった。
あの旅行の時の環菜の嫉妬は、忘れられないぐらい可愛かったのだ。
女性に嫉妬されるのは面倒だとしか思ったことがなかったのに、可愛いと思う嫉妬があるとは新たな発見でもあった。
つまりは、本当に好きな相手にだったら、嫉妬されるのも嬉しいということなのだろう。
「もう!またからかってるでしょ?もういい!聞いた私が間違ってた」
「ごめん、ごめん。まぁ簡単に言うと、環菜ほど愛してる人がいなかっただけだよ」
「‥‥!」
一瞬驚いたように目を丸くする環菜を見て、なんだかもっと触れたくなり、僕は赤く染まる頬にチュッと軽く唇を寄せたのだった。