Actress〜偽りから始まるプラハの恋〜
そこで、ふと以前環菜が話していたことを思い出す。
睡眠薬を飲まされて、眠らされて、全く記憶がないことがあったと。
(もしかして、全部仕組まれていたことだったんじゃ‥‥。環菜は誰かにはめられただけなんじゃないだろうか)
「その神奈月亜希っていう女優、どこの芸能事務所所属の女優だったか知ってる?」
「えっと確か中堅のとこだったかな。って、いきなり何だよ」
怪訝そうに新谷は僕を見る。
僕がそんなことに興味を持ったことに違和感を感じているのだろう。
「プラハですれ違ってるもなにも、一緒に住んでるよ。彼女だよ、僕の婚約者」
「はぁ!?」
新谷が素っ頓狂な大きな声を上げる。
そのあまりの大きさに店内にいた人々の視線が一斉にこちらに集まった。
新谷はそれにハッとすると、「すみません。なんでもありません」と周囲に向かって軽く頭を下げ、その場を収める。
それから僕の方を改めてまじまじと見ると、どういうことかと尋ねてきた。
「日本で女優やってたのは知らなかったけど。聞いて色々納得いったよ」
「知らなかったって。そんなことありえるのか!?」
「隠してたんだろうね。僕も日本の女優に詳しくなかったし。で、本人を知ってる僕だから確信があるんだけど、その1年前のスキャンダル、十中八九、デマだよ」
「デマ!?だけど写真が掲載されてたんだせ?お前に見せるのはどうかと思うけど、ほら、これ」
そう言って過去の記事に載っている写真を僕に差し出してくる。
目元をモザイク処理で隠された男とホテルのベッドで寄り添うように寝ている様子の写真で、確かにそれは環菜だった。
それっぽく見えるし、本人から話を聞いていなければ僕も信じたかもしれない。
環菜が他の男と寄り添っているのを見るのはひどく苛立ちを感じた。
「確かに写真はそうだけど、たぶん睡眠薬で眠ってるところを撮られたんだと思う。本人が昔、薬を盛られて記憶がなかったことがあるって言ってたから。それに僕が知る彼女は、男遊びしてたとは思えない感じだよ。演技のことしか興味ないみたいな」
「なんだよそれ!じゃあ亜希ちゃんは芸能界を追われる必要なかったんじゃないか。イメージと違ってだまされたと思ってた自分が馬鹿みたいだし、申し訳なかったな。それでなんで事務所を聞くんだ?」
睡眠薬を飲まされて、眠らされて、全く記憶がないことがあったと。
(もしかして、全部仕組まれていたことだったんじゃ‥‥。環菜は誰かにはめられただけなんじゃないだろうか)
「その神奈月亜希っていう女優、どこの芸能事務所所属の女優だったか知ってる?」
「えっと確か中堅のとこだったかな。って、いきなり何だよ」
怪訝そうに新谷は僕を見る。
僕がそんなことに興味を持ったことに違和感を感じているのだろう。
「プラハですれ違ってるもなにも、一緒に住んでるよ。彼女だよ、僕の婚約者」
「はぁ!?」
新谷が素っ頓狂な大きな声を上げる。
そのあまりの大きさに店内にいた人々の視線が一斉にこちらに集まった。
新谷はそれにハッとすると、「すみません。なんでもありません」と周囲に向かって軽く頭を下げ、その場を収める。
それから僕の方を改めてまじまじと見ると、どういうことかと尋ねてきた。
「日本で女優やってたのは知らなかったけど。聞いて色々納得いったよ」
「知らなかったって。そんなことありえるのか!?」
「隠してたんだろうね。僕も日本の女優に詳しくなかったし。で、本人を知ってる僕だから確信があるんだけど、その1年前のスキャンダル、十中八九、デマだよ」
「デマ!?だけど写真が掲載されてたんだせ?お前に見せるのはどうかと思うけど、ほら、これ」
そう言って過去の記事に載っている写真を僕に差し出してくる。
目元をモザイク処理で隠された男とホテルのベッドで寄り添うように寝ている様子の写真で、確かにそれは環菜だった。
それっぽく見えるし、本人から話を聞いていなければ僕も信じたかもしれない。
環菜が他の男と寄り添っているのを見るのはひどく苛立ちを感じた。
「確かに写真はそうだけど、たぶん睡眠薬で眠ってるところを撮られたんだと思う。本人が昔、薬を盛られて記憶がなかったことがあるって言ってたから。それに僕が知る彼女は、男遊びしてたとは思えない感じだよ。演技のことしか興味ないみたいな」
「なんだよそれ!じゃあ亜希ちゃんは芸能界を追われる必要なかったんじゃないか。イメージと違ってだまされたと思ってた自分が馬鹿みたいだし、申し訳なかったな。それでなんで事務所を聞くんだ?」